はじめに|訪問看護は「一人で判断する仕事」
訪問看護は、基本的に一人で現場へ向かう仕事です。
その場で起きる出来事に対して、即座に判断し、対応する必要があります。
病院と違い、
- すぐに同僚へ相談できない
- 医師や他職種がその場にいない
- 利用者さんやご家族との関係性が、契約や継続利用に直結する
こうした特徴から、訪問看護ではコミュニケーションのつまずきが、精神的な負担や自己否定につながりやすいのが現実です。
私自身訪問看護の1人で現場に行く孤独感や、クレームや休廃止が運営に直結するプレッシャーが負担に感じていました。
この記事では、
訪問看護で多くの看護師が経験する「つまずきやすいコミュニケーション」と、
それを一人で抱え込まないための「ケースシェア」という考え方をお伝えします。
訪問看護でつまずきやすいコミュニケーションエラー5選
① 気持ちが入り込みすぎてしまう
利用者さんやご家族の背景を知るほど、
- なんとかしてあげたい
- つらい気持ちを受け止めなきゃ
と、感情が深く入り込みすぎてしまうことがあります。
結果として、
- 境界線が曖昧になる
- 疲弊しやすくなる
- 客観的な判断が難しくなる
という悪循環に陥ることも。
② 良かれと思って、何でもやってしまう
「困っていそうだから」
「私がやった方が早いから」
そう思って先回りしてしまうことは、訪問看護ではよくあります。
しかしそれが続くと、
- 利用者さんの力を奪ってしまう
- 依存関係が生まれる
- 自分の負担だけが増える
という結果につながることも少なくありません。
③ 利用者さんを信じきれず、「待つ」ことができない
在宅では、変化がゆっくりなケースも多いです。
それでも、
- 本当に大丈夫だろうか
- このまま待っていていいのか
と不安になり、つい介入しすぎてしまう。
「待つ」というケアは、
信じる力と勇気が必要な看護だと、訪問看護をしていると実感します。
④ 忖度しすぎて、DNARなど大切な話ができない
- 空気を壊したくない
- まだ聞くタイミングじゃない気がする
そうして先延ばしにされがちなのが、
DNARや意思決定に関わる重要な話題です。
結果として、
- 急変時に慌てる
- 家族間で認識のズレが生じる
など、後から大きな負担になることもあります。
⑤ 沈黙に耐えられない(沈黙を「反応」と捉えられない)
沈黙が続くと、
- 何か話さなきゃ
- 気まずい
と感じてしまうことはありませんか?
でも実は、沈黙も立派な反応です。
利用者さんが考えている時間、気持ちを整理している時間かもしれません。
沈黙に耐えられないことが、
かえって相手の思いを置き去りにしてしまうこともあります。
訪問看護における「ケースシェア」とは?
ここでお伝えしたいのが、ケースシェアという考え方です。
ケースシェアとは、
一般的なケースカンファレンスのように
- 利用者さんの問題点を検討する場
ではありません。
**「その場で起きた利用者さんの反応」と「自分の感情」**を共有することを目的とします。
なぜケースシェアが必要なのか
訪問看護は、
- 困ったときにその場で解決できない
- 相談できる相手がすぐにいない
という構造があります。
そして看護師は、
- 真面目
- 責任感が強い
- 利用者さんの気持ちに応えたい
そんな人が多いからこそ、
自分の感情に蓋をしてしまいがちです。
ケースシェアをすることで、
- 「自分だけじゃなかった」
- 「同じような経験をしている人がいた」
- 「別の見方があると知れた」
と、視野が広がり、心が軽くなることがあります。
ケースシェアの進め方(シンプルな方法)
① ケースを募集する
※利用者さんの評価ではなく
「その時の状況」と「自分の感情」にフォーカス
② みんなに共有する
正解・不正解を決めないことが大切です。
③ 「自分だったらどうするか」を出してもらう
意見はあくまで参考。
持ち帰るのは「使えそうな視点」だけでOKです。
実際にやってみて感じた変化
まだ始めて間もない取り組みですが、
- 「話すだけでスッキリした」
- 「みんなも同じように悩んでいると知れて安心した」
という声がすでに上がっています。
解決策が出なくても、
感情を外に出すこと自体が支えになる
それがケースシェアの大きな価値だと感じています。
まとめ|一人で抱え込まないことも、訪問看護の力
訪問看護は、どうしても「一人で頑張りがち」な仕事です。
でも、
- 悩むこと
- 迷うこと
- つまずくこと
は、決して弱さではありません。
ケースシェアは、
自分を守りながら、看護を続けるための大切な手段です。
もし今、
「なんとなくしんどい」
「誰にも言えないモヤモヤがある」
そう感じているなら、
ぜひ一度、ケースシェアを取り入れてみてください。

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